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Encyclopedia : The Automatic Heart

※仮設定です。本編と異なる場合があります。ご注意下さい※

WORLD

■ VRN社(VIRTUAL REALILY NEWTWOKS.Inc)
 異常天才・葉山京介の私設研究機関である『葉山未来技術研究所』が全額出資した会社。当初はFV端末やFV専用ソフトを販売するだけだったが、すぐにFV端末を利用したオンライン事業も開始。国内外から絶大な支持を集め、一躍、ハードのみならずソフト面でも世界屈指の大企業として君臨することになる。
 今でいう Microsoft と Intel と IBM と Apple と Sony と任天堂と SEGA がセットになった超巨大企業グループ『 NUERO 』のVR部門の顔会社でもある――と設定しておけば、独占禁止法も関係なくなることに気づいたので、そうしておくことにする。
■ テクノライツ社(Technolights.Inc)
 VRN社の対抗馬。もともとFVオンラインゲームが乱立する中、たった五人の技術者が設立した同人ソフトハウスにすぎなかったが、ユーザーが小劇場の観客となり、舞台で繰り広げられる芝居を眺めながら、要所要所で選択肢を選び、疑似インターラクティブなストーリーを楽しめるという「ヴァーチャルシアター」というジャンルを確立したことで一躍有名になる。以後、FV専用リアルタイム・ストラテジーゲーム『WARLORD』で欧米を中心に絶大な支持を集め、時期的にロボットものが消えかけていた時代にFVFPSアクションゲーム『GAN ARMS』を発表、この頃からパーツの自作が可能だったこともあり、爆発的な人気をよび、躍進していくことになった。
 本社が神戸にあることから、日本では「東のVRN、西のテクノライツ」と呼ばれるほどになっている(欧米での知名度はテクノライツが上)。
 20X0年段階では、FV後進地域である欧米への進出に力を入れているため、日本での活動はあまり目立っていない。PV事業参入は20X3年の「あにまらんど」から。後に『GUN ARMS INTEGRAL』を発表、SF的な世界観は日本でこそ受けが悪かったが、アメリカでは絶大な支持を集めることになる。
■ 墓事件(B0 Case)
 20X0年4月3日に発生した『WIZARD LABYRINTH』バージョンBeta-Zero誤適用事故の通称。日本ではネット上で生まれた「墓(Berta-ZeroことB0をBO=ぼ=墓とした)事件」がマスメディアにも取り上げられ、その不吉な語幹から定着することになった。
 一般的には事故中に発生した乱交&暴動のことを意味しており、「すべての制限が取り払われたPVではユーザーの欲望が解放されてしまうという事例」であると受け止められている。ただネットでは「思考加速現象が起こり、暴動後も何十日という期間、ユーザーは殺し合いを続けた」と信じられている。
 墓事件では、オンラインゲーマーの間で知らぬ者はいない『Wizard Gunner Online』総合情報サイト「梓駅舎」管理人「」の偽者が魔王のごとく暴れ回ったと言われている。また、「魔王(セイタン)」と化した偽梓には白い「狂戦士(バーサーカー)」が付き従っていたともいわれている。この二人は、「クロウリー」という名の「黒剣士(ブラックセイバー)」が倒したとされ、以後、さまざまなゲームで忍者キャラを自称するグリファー(一般に「忍厨」と呼ばれる)が暴れてしまう。
 詳しい経緯は「Deadly Labyrinth」参照。
■ 悪夢(Nightmare)
 20X3年に発生した一連の事件の総称。
 詳細は今のところ未定(笑) 確定するのは「DUEL ONLINE」の完結後だと思われる(苦笑)

WORLD : TECH

■ 仮想現実(Virtual-reality)
 コンピューター技術やコンピュータネットワークによって作られる仮想的な環境から受ける様々な感覚の疑似的体験、または擬似的体験をもたらす機器のこと。狭義では最新の音響機器や立体感が楽しめる画像などもコレに含まれるが、基本的には「電算・電子技術を用い、視覚・聴覚に対してリアルタイムかつ双方向的に体験できる仮想的な感覚刺激の再現」を意味している。
 作中世界ではHMDデータグローブ等を用いた疑似仮想現実(FV)と五感全てを切り替えてしまう完全仮想現実(PV)の2種類を区別して扱っている。なお、前者の実現性は高いが、後者は嘘に嘘を重ねまくった完全なフィクションである。
■ 疑似仮想現実/FV/FVR(False Virtual-reality)
 直接的に五感を刺激する機器を用いた擬似的体験、またはそのための機器のこと。
 作中では主に頭部の動きをトレースし、視野の全てを覆うように適切な映像を網膜投射するHMDを出力デバイスとし、指先の位置情報まで完全にトレースできるデータグローブと音声マイクとを入力デバイスとした仮想現実技術または同機器を意味する言葉として使用している。
 なお、網膜投下型映像出力デバイスは今のところフィクションだが、頭部の動きのトレースは(反応速度がまだ遅いが)実験室レベルで成功している。また両手の動きのトレースは、取り込んだ動画を解析するという形ですでに実用化レベルに到達している。また作中世界では異常天才・葉山京介の息がかかったVRN社が史上初のFV端末『FVゴーグル』(通称「バーグラ」)を販売。主にエンターテイメントと、集中管理が必要な職場におけるオペレーター用インターフェイスとして広く用いられるとしている。
■ 完全仮想現実/PV/PVR(Perfect Virtual-reality)
 作品世界最大の嘘。神経系の非化学的な信号伝達部分に電磁的に干渉、その運動エナジーをアンデルフィア=ローカル場(※架空の力場)が受け取り、化学的な伝達を媒介させずに情報伝達を実現してしまう技術またはその機器のこと。化学的な信号を完全に遮断できるわけではないが、総量を著しく抑えられるため事実上無いに等しい状態にできる。
 作中では旧ソ連が行っていた非薬学的麻酔技術の研究(都市伝説の一種として存在が噂されたことがあるトンデモ技術)を異常天才・葉山京介が発掘、これをベースに、安全かつ安価な麻酔装置の開発を進めた結果、副産物として仮想現実も可能であることが判明した――という経緯で開発されたことにしている。
 作中では触れていないが、この技術の「化学反応に頼らない麻酔技術」という側面は、ワクチンの開発に並ぶ一大医療革命であり、同技術を独占しているVRN社の医療部門が充実する理由にも使用している。また化学的信号伝達を介さないため、使用者の反応速度が相対的に上昇する点も重要。神経系そのものを刺激することにもつながるため、痴呆症対策に役立つ可能性もあるとしている。
 なお、この技術を利用するには高度かつ柔軟な対応が可能な人工知能の存在が必要不可欠。そのため作中では、超高速量子回線を通じ、各デバイスを超高性能スーパーコンピュータと直結させるサーバー/クライアント型ネットワークを構築、全てをサーバー側で処理させることで、現実そのままの世界を再現していると設定している。
■ ニューロチップ(Neuro Chip)
 神経回路網をモデル化し、人間の脳や眼の情報処理の手法を模して作られた LSI チップのこと。パターン認識などあいまいな情報の処理に高い能力を発揮するとされ、RISC に次ぐ次世代の LSI チップとして今なお研究が続けられている未来技術でもある。
 作中では異常天才・葉山京介がシリコンベースでこれを開発、IT技術に革命をもたらしたことにしている。なお、彼が開発したニューロチップは事実上の量子コンピューターチップであり、ナノサイズの単位素子ひとつでメモリーも兼ねるという夢のようなチップとしている。そのため現在でいう Pentium4 800MHz に 1GB のメモリを積んだデスクトップマシン並みの性能を携帯電話の中に詰め込めるまでになった。問題は記録媒体だが、あまり特殊なものを設定すると読者も付いていけないと考え、今のところ極薄の MD(形状は3.5FDDそのもの)と SONY のメモリースティックのようなものが普及していることにしている。
 異常天才・葉山京介は、この特許料でPVを開発する資金を集めた。以上は大嘘を吐くための小嘘にすぎない。
■ 量子通信(Quantum Line)
 光通信技術の一種で、量子力学の原理を用い、物理的に保証された暗号通信を可能とする技術のこと。一般には「量子暗号」と呼ばれるが、作中では「量子通信」という言葉が普及したとして、こちらを用いている。
 作中ではナノテクノロジーの発達に伴い光ファイバー用の新素材が登場したとしている。はたしてそれが何であるか、筆者にもわからない。無重力環境下で精製したの等、アイデアはいろいろとあるが、そんなものが既製品として市場に流すことが可能なのか――考えるだけで頭が痛い。
 とりあえずペタ(1015)bpsの速度を叩き出す、量子暗号通信が可能な光ファイバーが存在していると設定してある。もちろん開発者は異常天才・葉山京介。各家庭にPVデバイスを置き、サーバー/クライアント型のネットワークを構築するとなれば、これぐらいの通信速度と安全性は必要不可欠だろう、という浅はかな考えから生まれた設定であるため、あまり深く突っ込まないで欲しい。
■ HMD(Head Mounted Display)
 FV用入出力デバイス。主にゴーグルやヘルメットのような形状をした映像出力装置を意味し、頭部の動きを検出するセンサー(ジャイロ?)を内蔵している。頭部の動きを検出しないものは Helmet Mounted Display などと呼ばれる類似品なので注意が必要。
 作中ではヘルメット型HMDが最初に登場したとしている。映像は自動的に焦点をあわせる網膜投射型の出力装置を利用。これにより視界の全てをカバーする映像が出力されるとしているが、無論、そのような技術は今のところフィクションの域を抜け出ていない。
 黎明期はVRN社が米空軍のパイロット用ヘルメットに似た形状の『 FV-HMD 』が登場。後に小型軽量化された、スキーのゴーグルに似た『 FV GOGGLES 』が発売され、これに CCD カメラを取り付けた『 Breeder Goggles 』が登場されたあたりから、爆発的に普及していった――という設定にしている。開発者は(以下略)。
■ データグローブ(Data Glove)
 FV用入力デバイス。手首の位置、手首と指の動きを検知する機能を備えている。
 現実にも伝説的ゲームデバイス『パックスパワーグローブ』などで知られているデバイスだが、作中では手首から数センチのところまで覆う革製の手袋そのままの外観を持った、通気性に優れる軽量・極薄のデータグローブが一般化していることにしている。開発(以下略)。
■ バーグラ(Bargra)
 FV用入出力デバイス「ヴァーチャルグラス」の略称。一般的にデータグローブを必要としないタイプ(手の動きは映像として取り込む)を指し示す。「ヴァーチャルグラス」→「ヴァーチャグラス」→「バーグラ」と変化した。PHSがピッチに、携帯電話がケータイになったのと同様。ネットでは誤用語として「厠(バグラ→馬蔵→厩(うまや)→厠(かわや))」が定着しつつある。
 日本ではフライトゴーグルタイプ(眼鏡が左右に分かれ、バンドで頭に固定するタイプ)とフライトヘルメットタイプ(マスク装着部が空いているヘルメットタイプ)が一般的だが、欧米では大型なスキーゴーグルタイプとミラーグラスタイプが主流といわれている(FV利用者が日本では若年層、欧米では壮年層に多い)。
 完全に目元を覆うため、OFF状態では何も見えなくなるが、今は複数の超薄型カメラが標準装備されており、システムを起動とすると、映像処理された周囲の光景が投影されるのが普通である(デフォルトではバーグラの輪郭が薄い青の光格子で表示される)。作中ではユピキタス社会が到来していることにしているため、全てのバーグラは無線接続を基本としているが、運転中のバーグラ使用による事故なども起きており、それはそれで社会問題化している。
■ PVシート(PV Sheet)
 PV用入出力デバイス。外観的にはリクライニングチェアーに、上半身を覆うカバーがついたものを想像すれば良い。直接脳みそを触る必要がなければ、ある程度の閉鎖性さえ保てればどうにかなるだろうという作者の適当な思いつきによって生まれたことは秘密。竜を使役する少年漫画にも同じやつが出てたけど、あれはカッコワルイのでパス。
 なんにしても、あまり深く追求して欲しくないギミックのひとつ。
■ VUI(Virtual-reality User Interface)
 GUI ( Graphical User Interface ) の発展版。ユーザーの周囲に GUI でいうアイコンがボールオブジェとして浮遊し、何十という平面スクリーンを任意の場所に移動することができるとしている。これを発展させたのが『 Artificial Existence 』に登場する『 PV-OS 』である。
 ただFV環境でこれを使用する場合、文字入力にはレスポンスの無いボールオブジェをノック( GUI のクリックに該当する言葉)するか、キーボードやキーレス・キーボード(仮想的に表示されるキーボードのこと。タイプ時のレスポンスや音が無い)をブラインドタッチで使用することになる。非VR環境で育った世代はこれを嫌ったため、FVの普及は一時的に頭打ち状態に陥った。ただ、生まれた頃からFVがある世代はキーレス・キーボードにもすぐ適応したため、『 Powmon Breeder 』の登場と共に普及していくことになる。
 なお、音声認識技術の発達により、PVが現れた頃にはキーボードが廃れていくことになる。
■ 多重結合象徴(Multi-Link Symbol)
 PVに並ぶ本作世界の重要ギミック。単に「象徴」と呼ぶこともある。
 ひとつの象徴(Symbol)に無数のタグを付け、その Hyper Link をたどることで総合的な評価を下すという理論、またはそれに用いられる象徴のこと。 google の Page Rank をさらに発展させたものだと考えれば良い。
 「なに」と「なに」が「どのように」関連しているか――?
■ 人工知能(Artificial Intelligence)
 言語などのシンボルを理解し、推論し、学習し、問題を解決するためのコンピュータ、またはソフトウェアのこと。何も人間的な反応を見せるソフトウェアだけが人工知能ではない。作中世界では、全てのコンピュータソフトウェアが多重結合象徴データベースを利用した、エージェントの一種であると設定している。
 FVPVも、これなくして語ることはできない。
 ソフトウェア的な問題を全て解決させるための魔法の言葉ともいえる。
■ 人工存在(Artificial Existence)
 人間の知性(脳を含む神経伝達系すべて)をエミュレートしたコンピュータ・プログラムのこと。
 とりあえず『 Artificial Existence 』を読んでくださいな。

WORLD : SOFT

■ Wizard Gunnner Online
 MMOヴァーチャルリアリティRPGのキラーソフト。略称は「WiGO(うぃごー)」または「WGO」。
 クリーチャーや他陣営のPCに対して音声認識とコントローラー操作でバカスカ弾を撃ち込んでいくという爽快なゲーム。基本的に四陣営の拠点争奪を主眼とした第二世代系の作品だが、ものすごくぶっちゃけてしまうと『Dark Age of Camelot』のような、『幻世虚構 精霊機導弾』『パンツァードラグーン』的なゲームだと思えば良い。
 敵を倒すことでマナを獲得でき、これを消費して様々な魔法を意味するルーン(無制限と使い捨ての2種類があり、ステージに応じて使用可能なルーンに制限がある)を購入。自分の操作はアナログスティック、△ボタンで魔法弾(L1ボタンとR1ボタンで変更可)、○ボタンで特殊魔法(L2ボタンとR2ボタンで変更可)を使い、照準は視線に固定されているため、睨んだ方角にドカドカと魔法弾を打ち込むことができる。飛行時の上下移動は□ボタン(上)と×ボタン(下)。そういうゲームで遊びたい、という筆者の欲望のままに設定したゲームであることは秘密。
 データグローブを使わず、使い慣れているゲーム用コントローラー(というかPS系コントローラー)で操作できたことから、FV黎明期にゲームマニアから広い支持を集めたという設定。もっとも、マニアに受け入れられたぐらいでFV端末が普及するはずがない。FVの普及は『 Powmon Breeder 』とアダルトコンテンツの登場を待たなければならなかった。
■ Powmon Breeder
 FVゲームのキラーソフト。略称は「ぱうもん」。
 CCDカメラを搭載したHMDを用いたゲームで、取り込んだ周囲の画像に「パウモン(Powmon)」というクリーチャーを重ねて表示、あたかもヴァーチャルなキャラクターが現実世界に出てきたかのように見える――という環境でポケモンをやるという非常に柳の下のドジョウ的な発想から生まれたゲームだったりする。
 作中ではこれが子供に受け、FVの普及に一役かったとしている。
■ アダルトコンテンツ
 メディア普及の陰にアダルトコンテンツ有り――というわけでFVもご多分に漏れず、アダルトコンテンツが現れたことで、世のお父さんたちも購入するようになっていったとしている。当初は稚拙な3Dオブジェがストリップを行う(ユーザーはコントローラーで移動できた)という程度だったが、安価な多重撮影技術が確立すると、視点を自由に移動できるアダルトビデオのようなものが登場。メディアの特性から覗き見を主眼にしたタイトルが乱立することになる。
 ソフトと連動するダッチワイフも登場するが、まぁ、これはさすがにキワモノ扱いを受けて普及しなかったとしている。
 なお、オンラインでリアルタイムにFVアダルト動画を配信する風俗営業も考えられるが、触れもしないものに相応の需要があるのかどうか自分にはよくわからないので、微妙だと考えている。いっそ裏ページでも作って、その手の話だけやるのも面白いかもなぁ……
■ GUN ARMS FRONTIER
 テクノライツ社の看板商品。欧米では『Wizard Gunner Online』以上に高い知名度を持っている。略称は「GAF(ぎゃふ)」。
 基本的には『ARMORED CORE NEXUS』のMMO対戦版。フレームと呼ばれる骨格が定められており、これにパーツを付けていくことで「ガンアーム」と呼ばれる機体をデザインできる。フレーム、パーツの自作も可能だが、荷重からパーツの耐久力まで、かなり細かいところまでシビアな計算が行われるため、完全自作を行う者はほとんどいない。細かいことを書き出せば、もうそれだけで一作書けてしまいそうなほど設定があったりするのは秘密(笑)
■ WIZARD LABYRINTH
 史上初のPVRPG。略称は「WL」または「うぃらび」。
 もともと一人用ゲームであり、プレイヤーは例外なく魔術師(ウィザード)になるはずだった。しかしMMO版として内々で開発が進められていたバージョンB0は、まったく別物としてデザインされている。詳しくは「 Deadly Labyrinth 」参照。
 なお、PVはもともと、ユーザーの象徴処理に関する速度・精度がものを言うメディアであるため、どんなゲームルールを導入してもマニア型ゲーム(操作が巧みなプレイヤーが強いことになるゲーム)になってしまう。そこで『WIZARD LABYRINTH』では、ゲームルールそのものを、プレイ時間が強さと直結する廃人型に設定してある。つまり、たとえ外装操作や思考操作が下手なユーザーでも、データ的に強くなれば、そこそこ戦えるという形になっている。それでも上手なプレイヤーはレベルアップも早いため、完全な平等は実現できていない。
 20X0年4月1日にオープンβテストも無く運営を開始したが、同3日に「墓事件」が発生。以後、運用が中断される。
■ ヴァーチャルアイランド
 PV用環境ソフト。ログハウスがある南海の小さな孤島にログインできるだけのお試し版。ある意味、「 WIZARD LABYRINTH 」のマイルームの機能だけを切り離したソフトともいえる。
 墓事件以降、たいして遊ぶ者もいないまま運用が中断され、忘れられていく。
■ CITY TRIAL
 PV用レーソングソフト。正確にはヴァーチャルアイランドの附属機能にすぎない。プレイヤーはチョロQのような車に乗り込み、いろいろなサーキットでレースを楽しむことができる。衝突時の衝撃等は実在の体感ゲーム機の筐体レベル。デフォルトでハーネス装着、レーシングスーツ着用が行われる。最大八名が同時に参加できた。
 墓事件以降、たいして遊ぶ者もいないまま運用が中断され、忘れられていく。
■ DUEL ONLINE
 史上初のPVMMOヴァーチャルリアリティRPGのテストバージョン。タイトル名は、仮名にすぎない。
 「ファンタジア」という名の巨大な島を舞台に、耳の長い妖精族、角を持つ鬼人族、NPC専用の悪魔族が覇権を争うというPvP主体の第二世代MMORPGとしてデザインされている。
 ゲームシステムは『WIZARD LABYRINTH』バージョンBシリーズの発展型にあたるバージョンD。一番の特徴は、自分だけのエクストラスキルに目覚めていくという「クレストシステム」を実装していること。また、物作りを行うスキルを導入するなど、スキル回りも大幅に変更している。大量のNPCが登場するのも特徴のひとつ。「ルーマーシステム」も正式に実装され、ゲーム内メディアの発展を促している。

WORD : GAME

■ RPG(Role Playing Game)
 ゲームジャンル用語。元々はプレイヤー対戦を重視した戦争シミレーションゲームへの対義語的な意味での「協力型迷宮探索ゲーム(ゲームに参加する個々のプレイヤーが特性に応じた役割(role)を果たす(play)ことでクリアーを目指す)」を意味したが、後に演劇的な意味合いの役(role)を演じる(play)ことが重視され、現在は「作中の登場人物に共感するいち手段としてインタラクティブな要素があるゲーム」ぐらいの意味で用いられることが増えてきている。
 なお、史上初のRPG『Dungeons & Dragons』(1974年)は迷宮(Dungeon)の奥に隠された財宝を持ち帰ることを目的としたゲームであり、キャラクターは呆気ないまでに死にやすく、戦闘により手に入る報酬は財宝の100分の1以下。いかに戦闘を避け、財宝のみを持ち帰るかが重要なゲームとしてデザインされていた。また同作は『指輪物語』に代表されるファンタジー小説ブームの後押しを受けて全米の学生の間で大流行、一時は現実と虚構の区別をつけられなかった少年が失踪事件を引き起こしたり、同作を「悪魔の遊具」と位置づけるキリスト教系宗派が現れるなど、社会問題化することになった。後に同作の迷宮探索に焦点をあてた『Wizardry』(1981年)、追加ルールで補足された野外探索に焦点にあてた『Ultima』(1981年)というコンピュータRPGが誕生。前者は『Ever Quest』や『Final Fantasy XI』などの一人称視点型MMORPGに、後者は『Ultima Online』や『ラグナロクオンライン』などの俯瞰型MMORPGに、それぞれの系譜を伝えている。
■ MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)
 ゲームジャンル用語。「大規模多人数同時参加型ロールプレイングゲーム」の略称であり、ただの「多人数(Multiplayer)」でも「オンライン(Online)」でも無い、「大規模(Massively)」な架空世界を提供するという意気込みから付けられたという説がある。
 世界初のMMORPGは韓国ネクソン社の『風の王国』(1996年)とも言われているが、MMORPGという名称を使った初の作品は1996年にβテストを開始した『Ultima Online』であるため、知名度との関係から、一般的にこちらを初めと見る向きが強い。幾多の社会問題を引き起こしつつ、最近は『THERE』『Second Life』『Sims Online』に代表される第三世代MMORPGが芽を伸ばしつつある。

※筆者は「既存のコンピュータRPGを多人数同時参加型に拡大したもの」を第一世代MMORPG、「多人数同時参加がもたらす対立または協力という側面を主眼としたもの」を第二世代、「単なる箱庭世界に留まらずユーザーもより能動的に世界・社会の構築に関与できる比喩世界の提供を第一義としたもの」を第三世代と呼んでいる。『 Deadly Labyrinth 』はハードウェア的には第三世代だが、ソフトウェアは第一世代に属する。
■ 比喩世界/メタバース(Metaverse)
 ゲーム用語。基本的に「オンライン・コミュニティの受け皿」を意味しており、広義ではインターネットそのもの、狭義では「限定的なオンライン・コミュニティをユーザーが能動的に作り出せるオンライン・コンテンツ」のことを意味している。MMORPGは生まれながらのメタバースといえるが、ユーザー側の行動が制限されている(仮想世界中の移動、戦闘、資源の交換ぐらいしかできない)場合が多いため、あまりメタバース的とは考えない場合も多い。
 メタバースの構築を主題にしたコンテンツとしては『THERE』『Second Life』『Sims Online』などがある。日本では、各社が参入しているアバターチャットなどもメタバース的な側面を持ちつつある。
■ MO(Multiplayer Online)
 ゲームジャンル用語。「多人数同時参加型」の略称。麻雀、囲碁、チャスなどの伝統的ゲームや『Age of Empire』シリーズに代表されるリアルタイム・ストラテジーゲーム、『Diablo』シリーズに代表される同時参加人数が限られたRPGなどがこれに該当する。MMORPGとの対比から生まれた言葉で、感覚的には「MMO以外のオンラインゲームの冠頭語」だと考えれば間違いない。
 なお、その性質上、系譜はコンピュータ通信の歴史と重なっている。
■ FPS(First Person Shooter)
 ゲームタイプ用語。一人称視点の略称であり、主に一人称視点のシューティングゲームを意味する。id software社の『Wolfenstein 3-D』、『DOOM』シリーズ、『Quake』シリーズなどのようなゲームだと思えば良い。『Ever Quest』や『Final Fantasy XI』などのMMORPGも、これに該当する。
■ ボット(Bot)
 MMORPG用語。自動制御されたキャラクターを意味する。語源は「Robot」。
 単調作業で利益(経験値、お金などを得る)が得られるゲームにおいて、プレイヤー不在中に該当する作業のみを行わせるマクロを作り、これに制御されて動いているキャラクターのことを指し示す。基本的に、サーバーに負荷をかける悪質な行為として禁止されている。なお、「スペースキーを押せば剣を振るう」「剣を振るえばスキルが上がる」というゲームで、キーボードにコインなどを挟み、そのまま放置する行為もボット行為に当たる。
■ グリファー(Griefer)
 オンラインゲーム用語。システムやルールの欠陥を利用し、対戦相手等に嫌がらせを行う者を意味する。英語のgrief(=悲嘆、悲しみの種)が語源。
 日本ではまだ一般的ではないが、アメリカでは「チーター」「ルーター」などの総称として使われ始めている。MMORPGに限らず、全てのオンラインゲームにおいて「悪意を持って嫌がらせを行う者」の総称として、かなり便利な言葉でもある。
■ チート(Cheat)
 MMORPG用語。データ改竄を意味する。英語のcheat(=騙す)が語源。
 米国ではゲームの各種パラメーターを不正に制御することにこれという忌避感が無く、パソコンゲームの場合は専用ツールなどを用い、改造を行うのが一般的とさえされた時期があった。その影響を受け、初期のMMORPGでも不正に強力なアイテムを製作、キャラクターを強化するなどの行為が続発した。だがPvPが可能な環境でこれをやると平等性が失われるという判断から、現在は米国においても悪質な行為であると考えられるようになっている。
 なおチート行為を行う悪質プレイヤーのことを「チーター(Cheater)」と呼ぶ。
■ ルート(Loot)
 MMORPG用語。横取りを意味する。英語のloot(=略奪物、盗品など)が語源。
 もともとはゲーム中に配置されているアイテム(タンスの中のコイン)やモンスターが落とすアイテムのことを意味していたが、MMORPGでは「アイテムを落としたクリーチャーを倒したキャラクター以外が、戦いもしないのにアイテムを横取りしていく行為」を意味する場合が多い。MMORPGでは一般的に「クリーチャーを倒す権利」と「アイテムを拾う権利」は先に攻撃していたキャラクターにあるとされ、弓矢や魔法を用い、遠隔地から最後の一撃だけを加えてクリーチャーを倒す行為もルート行為と見なされる場合が多い。
 ルート行為を行う悪質プレイヤーは「ルーター(Looter)」と呼ばれる。
■ PvP(Player vs Player)
 MMORPG用語。プレイヤー対戦を意味する。
 プレイ時間によってキャラクターの強さに差が生じるMMORPGでは、平等性の維持が難しいため、何かと問題になり続けてきた要素でもある。『Ultima Online』などの第一世代は、それもまた仮想世界の現実のひとつと割り切るのが通例だが、それでもキャラクターが他のキャラクターを攻撃した際、強力無比なガードNPC(特殊な指定を受けているクリーチャー)が攻撃者を敵と認識して襲いかかるなどの対抗処置をとっていた。また第二世代ではPvPそのものを勢力抗争という形で昇華した『Dark Age of Camelot』や『Lineage Online』、最初からPvPができない(他のキャラクターを攻撃できない)作品が現れるなど、様々な対策がとられている。
 PvPの扱いを見ればシステムのすべてがわかる――と言えるほど、MMORPGでは非常に重要な要素ともいえる。
■ PK(Player Killing / Player Killer)
 MMORPG用語。PC(プレイヤー・キャラクター)を殺す行為、またはそれを行うプレイヤーを意味する。
 通常、両者が合意しないPvPでキャラクターが殺される、または殺そうとするプレイヤーのことを指し示す。日本では悪魔のごとく嫌われる傾向が強い。
■ PKK(Player Killer Killing / Player Killer Killer)
 MMORPG用語。PKを殺す行為、またはそれを行うプレイヤーを意味する。
 『Ultima Online』においてPKを行ったキャラクターは名前の色が変わり、PKであることが明示されてしまうが、PKを殺した場合のみ、名前色変更の処理を受けないところから、あえてPKのみを相手にしたPKが現れ、定着するようになった。
 意味だけを知ると正義の味方っぽいが、当初のPKKは犯罪者指定の抜け道を利用しただけのチーターというべき代物だった。一部には本当に、正義の味方をロールプレイしている人もいたが、なんだかんだと悪質なPKKが増えたため、PKKKなどというものが現れた時期もある。
■ MPK(Monster Player Killing / Monster Player Killer)
 MMORPG用語。モンスターを誘導するなどのテクニックを駆使してPKを行うこと、またはそれを行うプレイヤーを意味する。
 主にPvPが制限されているゲームで行う者がいる。悪意が無くとも、あまり戦いたくないクリーチャーのターゲット(攻撃目標)が自分に設定された際、わざと別のキャラクターに近づき、ターゲットを移して逃げることで回避する、という自分勝手なプレイヤーを指し示す言葉としても用いられる。だいたいにおいて、この手の行為を行うプレイヤーはルーターである場合が多い。
■ 略語・誤変換語・誤字語
 現在のMMORPGはリアルタイムで状況が変わる中、キーボード入力によるコミュニケーションを行うため、より短い単語で意思疎通が可能になるよう、様々な略語や俗語が自然発生、定着するようになった。
 代表例は「鯖(サーバーの略称)」「寝落ち(プレイヤーが操作中に眠ってしまいキャラクターが動かなくなること)」「w(日本語に対応していない海外のMMORPGで遊ぶ者たちが“(笑)”を“(warai)”“(warota)”などと表記、これを省略した“(w”“w”と使い始めたことから一般化していったフェイスマークの一種)」など。料金の桁数を「K(kilo)」や「M(Mega)」で省略することも一般化している。
 ゲームごとに独自の略語・誤変換語・誤字語がある。
■ 仮想中毒(Virtual Addiction)
 社会学用語。提唱者は同名の著作を発表している米インターネット研究センターのデビッド・グリーンフィールド。詳細は Virtual Addiction and The Center For Internet Studies (*English) に譲るが、基本的には「オンラインゲームに代表される仮想経験には心理学的な中毒症状に陥る危険性もある」という学説だと考えれば良い。実際、長時間ゲームに没頭するあまり極度の疲労で死亡する事件も発生している。

OMAKE

※以下は『 Blade Online : The Nightmare 』のプロットを考えた時にかるーく作った簡単な年表です。筆者にしかわからない記述ばかりですが、オマケとして掲載しておくことにします。

年月日主な出来事
20W0

・VRN社が『FVゴーグル』『FV−OS』を発表(VR時代の幕開け)
・FPSゲーム『WIZARD GUNNER』発売(VRN社)
・ロボット対戦FPSゲーム『GUN ARMS』発売(テクノライツ社)

20W1

・256人同時対戦版GA、『GUN ARMS FRONTIER』発売(テクノライツ社)
・各種FV用ソフトウェア発売

20W2

・VRN社、仁天堂と提携
・広角CCDカメラ搭載型FVゴーグル『ブリーダーゴーグル』発売
・モンスター育成・対戦ゲーム『POWMON BREEDER』発売

20W3

・FPS系MMORPG『WIZARD GUNNER ONLINE』発売(VRN社)




WGO、GAFがバージョンアップを繰り返す


20W8

・VRN社、神経接続型仮想現実体感装置を発表

20W9

・アミューズメント用PVゲーム『WIZARD GUNNER BATTLE−ROYAL』運用開始
・普及型PV端末『PVシート』初回生産分(100万台)の予約開始

20X0

・PVシート発売
・環境ソフト『ヴァーチャル・アイランド』発売(VRN社)
・レーシングソフト『CITY TRIAL』発売(VRN社)
・RPG『WIZARD LABYRINTH』発売(VRN社)

★Deadly Case

・『WIZARD LABYRINTH』MO化パッチ発表(VRN社)

20X1

・MMORPG『Blade Online』クローズドβテスト開始(VRN社)
・MMOロボット対戦ゲーム『GUN ARMS INTEGRAL』クローズドβテスト開始(テクノライツ社)

20X2

・PV対応版GA、『GUN ARMS COLISEUM』発売(テクノライツ社)

20X3

・MMORPG『Blade Online』発売(VRN社)

★Nightmare Case

・VRN社倒産、業界第二位のテクノライツ社が旧PV部門を買収

20X5

・MMOロボット対戦ゲーム『GUN ARMS INTEGRAL』発売(テクノライツ社)

★Matrimony Case


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